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早すぎるよ、リリヤ ...

フォトエッセイ 「動物三昧」 「確認式」 「6/17 頃の出来事」 「宗教確認式2」 等に登場していた前の家のご近所さんのリリヤおばさんが10月17日に亡くなりました。享年47歳でした。まだまだ若かったのに信じられません。肝臓癌で今年の2月に判ったものの、最後は他にも転移していたそうです。

ウチはアイスランド人の親戚がいるワケでもなく、また郷に入った生活も全くしていないので、短くはない年数アイスランドに住みながらも、アイスランドでお葬式に参列するのは今回が初めてでした。

このまま住み続けていればいつかお葬式に行く事もあるだろうと漠然と思ってはいたけれど、それは友人の親御さん世代のお葬式だと思っていたので、まさかリリヤのお葬式に、しかもこんなに早く行く事になるとは思いませんでした。

夏にメイルを貰い「いつ遊びに来るのよ」と言われて、「じゃぁ、その内行くね」と答えたのに、時折 Selfoss まで行く度に気にはかかったものの、予定が立て込んでしまい、結局会いに行きませんでした。メイルには病気だとあったので尋ねたものの、それについては返答がなかったので、日常会話の一環で大した事ないのだとばかり思っていたんです ... 。そうこうしているうちに亡くなったと連絡を受けてしまいました。

たいちょが忙しくて手が離せないなら、せめてりゅの手があいた時に1人で会いに行けばよかった ... 。車の運転が嫌いで下手なのを言い訳に家に籠りがちだったけど、最近は運転出来るくらい体調も良くなっていたのに ... 。後悔先に立たずとはまさにこのことですね ... 。

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アイスランドでは当然お通夜もなく、また病院から直接教会へ遺体は運ばれるので、自宅に遺体が戻る事もないそうです。日本では普通どこで式をしても、1度は自宅へ遺体が戻るので、亡くなったとの連絡を受けてリリヤの自宅へ伺ったときに遺体がなくて変な感じがしました。リリヤが亡くなったのに現実感がなくて、なかなか受け入れられなかったのも、そこにあるのかもしれません。

日本ではキリスト教のお葬式でも香典がありますが、アイスランドでは香典はなく、親族は教会でのお葬式に花束を持参し、友人は自宅にお花を届けるのだそうです。またお花を届ける代わりに対癌協会等に寄付した旨のお知らせを故人宅へ送る場合もあるのだとか。アイスランドでも亡くなると新聞に告知を載せるのですが、そこへお花は辞退するので代わりに寄付して欲しいと故人が希望する場合もあるのだそうです。アイスランドでは新聞の告知欄に葬儀についてのお知らせとともに遺族が故人への思いを寄せることもあるようで、葬儀当日の新聞に娘のタニャちゃんとリリヤのおねえさんが寄稿していました。

と言う事で、ウチはお家へお花を持って行きました。今までお花屋さんかスーパーですでにまとめられている花束を買って来て、家で作り直したり、生け直したことはあっても、実はお花屋さんで花束を作ってもらうのはこれが初めてでした。初めてがお葬式の為だなんて、悲しい過ぎます。

お家へ行っても、つい今までのようにリリヤが出迎えてくれる気がして ... 奥の部屋からリリヤが出て来るような気がして、『居ない』のにどうしても慣れませんでした。

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半旗が揚げられた教会

お葬式の前の棺の蓋を閉める儀式には親族や親しい人が参列するそうで、ウチも参列してきました。そこでお顔を見られたのですが、その後蓋をしてしっかり螺子もしめていたのと棺の蓋に窓がなかったので、お葬式だけに来ていたら、リリヤの顔を見てお別れすることは出来なかったと思います。せめて最後にお別れができてよかった ... 。でも逆にお葬式だけに来ていたら、蓋をされた棺があるだけなので亡くなった実感を伴い難い印象を持ちました。

(後から聞いた話では、アイスランドでも蓋に窓があるタイプの棺もあれば、お葬式でもお願いすれば蓋を開けてもらう事も出来るそうです。)

ウチはアイスランド語全滅なので式中の牧師さんの言葉で聞き取れたのが固有名詞や地名だけという情けない有様だったのですが、皆、良いお葬式だったと言っていたので、そうだったのでしょうね。普段はそこまで思わないのですが、こう言う時はさすがにアイスランド語が判ったら良かったのに、と思ってしまいました。

謹んでお悔やみ申し上げます。リリヤ、安らかに眠ってね。

アイスランドは長寿国でお年寄りが元気と言う印象が強かったけど、当たり前だけど全員が長生きってワケではないんですよね ... 。

リリヤの子供のタニャとシミンは数年前にリリヤと同じような年頃で実のお父さんを癌で亡くしているので、20歳前後にして両親がいなくなってしまったことになるし、ヘイミルおじさんとの間の息子のアゥグストなんてまだ8歳なのに ... 。リリヤも幼い子供を残して死にたくなかっただろうと思うと、残念でなりません。

リリヤは土葬ではなく火葬を選んだそうで、ウェストフィヨルズ出身で田舎な土地柄のせいか、ウェストフィヨルズ在住のリリヤのお兄さんは『火葬』を聞いた事はあっても火葬のお葬式に参列するのは初めてだと言っていました。リリヤは飄々としたお茶目な人だったからか、新しい物もあっさりと果敢に試すタイプだったからか、最近は増えているものの、元々土葬が主だったキリスト教のアイスランドで火葬を選んだのかな。焚き火の炎を見るのが好きだったリリヤらしい気がします。

ところで土葬の場合、お葬式の後に親族が遺体を埋めに行き(同日でない場合もあるそうだけど)一般の参列者はコーヒーと軽食を別の場所で頂くけど、リリヤは火葬なので遺体は式の後に1度レイキャヴィクへ行かなきゃならなかったんです。なので親族も一緒にコーヒーの会場へ行くのはわかるんです。わかるんですが ...

日本だったら告別式の最後の出棺は皆で棺を見送りますが、それがなくて、リリヤの同僚が棺を霊柩車に乗せたら、親族も同僚も皆コーヒーの会場へ行っちゃったんです。なので、霊柩車を見送ったのは、もしかしたら霊柩車に誰か親族がいたのかもしれないけれど、ヘイミルおじさん達ではない誰かの車1台(葬儀屋さん??)とウチだけでした。棺を見送ると言う習慣はないらしく、また火葬場は週数日しか営業していないそうなので、お骨が戻って来るまで時間もかかることから、まだお葬式の途中と言う感覚なのかもしれません。でも、日本人なウチ2人にはこれだけはどうしても不思議で、自分達だけででもお見送りせずにはいられませんでした。

その後ウチもコーヒー会場へ行ったけれど、ヘイミルおじさんの50歳の誕生日を祝った会場と同じ所で、いつもと同じ顔ぶれを見かけ ... 次にこの人達と会うのは、リリヤの50歳の誕生日パーティだとばかり思ってたので、なんとも複雑な気分でした。リリヤは5人兄弟の末っ子で、憎まれずにちゃっかりしている所があったので、50歳になったらまたリリヤがウチに「手伝ってよぉ〜」とやってくるとばかり思ってたんです。そして、それを手伝うのだとばかり思ってました。なのに、なんで50歳の誕生日も迎えずに逝っちゃうのよ ... 。

ちなみにリリヤのお葬式は北欧神話の神々とキリスト教との混合のお式だったとのこと。アイスランドでは教会にキリスト教信者として登録しているアイスランド人が多い(ちょっと前までは『ほとんど』と言える程)けれど、登録を取り消すとこのような式もあげられるのだとか。前から思っていたけど、北欧神話の神々という複数の神を信仰する土台を元々持っていた上で、キリスト教に改宗させられたしたアイスランド人と万八百万の神々を持ちつつ仏教の広がった日本人には似ている部分があるように感じます。

おまけで ... アイスランドでは政教分離がなされておらず、牧師という職業も公務員ですが、政教分離について現在揉めているので、割愛しておきます。

お葬式は10月22日だったので、本当はもっと早く更新しようと思っていたけど、言葉が生々しくてなかなかすぐには書けないものですね ... 。11月1日現在、遺灰はセルフォスの葬儀屋さんに戻って来ているのだとか。近いうちにお墓へ埋めるそうで、やっぱりお葬式はまだ終わってなかったようです。最後にもう1度会ってきます。